2016年のバズワードはこれだ!「デジタルトランスフォーメーション」

■2015年は「IoT」と「インダストリー4.0」
 2015年、「IoT」や「インダストリー4.0」が、製造業以外のビジネスにもバズワードとなって流行しました。
 どこもかしこもIoT、インダストリー4.0の話題ばかりで、私もさまざまな相談や質問を受けました。しかし、その多くが「IoTをやりたい」などに終始し、本来、最も大事な「それらを使ってどうするの?何のためにそれに取り組むの?」という目的が抜け落ちていました。今後のビジネスにおいて利益を出す体質になるための手段、ツールがIoT、インダストリー4.0であり、目的と手段を履き違えている人が多かった印象があります。
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■2016年のバズワードは「デジタルトランスフォーメーション」
2016年のバズワードは「デジタルトランスフォーメーション」。日本語では「デジタル変革」などとも表現されています。
 デジタルトランスフォーメーションとは、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」(Wikipedia)とのこと。最近、インダストリー4.0やIoT、第4次産業革命関連のセミナーや資料などの多くでこの言葉が使われています。
 インダストリー4.0が製造現場や工場を中心とした製造業を領域としていたのに対し、デジタルトランスフォーメーションはビジネス全般を対象とした言葉で、働き方やビジネスモデル、それを支えるシステムまで含まれます。IoTやインダストリー4.0に加え、フィンテック(Fintech)やシェアリングエコノミーといったビジネストレンドも、このデジタルトランスフォーメーションの文脈で語られます。
■製造業から社会全体のトレンドへ
 過去の産業革命は、蒸気機関や電気、コンピュータといった最新技術が、はじめ製造業で使われ、それが周りの領域へ波及して社会全体が変わっていきました。いまの第4次産業革命も、IoTやクラウド、AIなど高度なIT技術が、いま製造業を中心にして使われ始め、過去の産業革命と同じ道を歩みつつあります。これが本格化していくと、他の業界に広がり、社会全体に影響を与えていくのでしょう。
 その意味では、2015年のバズワードが製造業領域のインダストリー4.0やIoTから、2016年にはデジタルトランスフォーメーションになっているというのは必然なのかもしれません。(とてつもなく早く、同時進行で他の業界でも活用が広がっているため混乱しがちですが)
とは言え、IoT、インダストリー4.0、第4次産業革命、デジタルトランスフォーメーションの方向に進んでいるのは時代の大きな流れです。これらを一過性のトレンド、単なるバズワードとして捉えるのではなく、その流れにどう自社が対応し、利益体質に持っていくか。それを考えなければなりません。
参考:Wikipedia デジタルトランスフォーメーション
参考:富士通 デジタル革新
参考:日立、デジタルトランスフォーメーション時代の到来―あらゆる企業が、デジタル技術によるビジネスモデル変革を余儀なくされる―(廣瀬弥生氏)第1回:何故デジタルトランスフォーメーションが必要なのか?